便利な世の中でできること。― ルート・シーの新しい企業理念によせて

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気づけばほぼ1年も前のこと。2017年8月。私たちルート・シーは、20期を迎えるにあたり、新たな企業理念となるミッション・ビジョンを掲げることになりました。

どれだけ崇高なミッション、魅力的なビジョンであったとしても、不確かな概念だけに立脚して、共同幻想を抱くことができるのか、と、少なくとも私は神経症気味に思うのです。
言葉を発することで、我々が目指す姿、作り出したい未来を少しでも多くの方にイメージし、共感してもらえるなら、言霊をも利用したいと思うに至っております。

というわけで僭越ながら、ルート・シーの新たなミッション・ビジョンを補完する、コンセプト記事などをしたため、このたび掲載することになりました。
せっかくオウンドメディアを運営しているのですもの。その言葉を自分たちのために使わずしてどうする。20周年を迎えたルート・シーの、新たな初期衝動をご笑覧いただければ幸いです。



便利な世の中になりました。

キャッシュを持たないままで、すぐに海外に飛び立てます。
はじめて行く街の名店に、渋滞を避けながら、迷わずたどり着けます。
複雑なレシピの、絶妙なタイミングは、家電たちが教えてくれます。
わからないことは、チャットの向こうのAIが、24時間応えてくれます。
今後20年で、ヒトの仕事の47%が、機械にとってかわられると言われています。

便利は当たり前になりました。

「消費」につながる行動を、次の「消費」へと呼び込むために、あらゆるサービスは加速度的に進化してきました。サービスの価値基準の中で、「私」は履歴で抽出され、属性で絞り込まれていくことで、少しずつ「ユーザー」になっていきました。そして、サービスはしたり顔で「ユーザー」に語りかけるのです。

『満足していただけましたか?さあ、もっと次の消費を!』


「消費」は、さも「私」にとっての目的かのような顔をして、「ユーザー」の前にさらなるおすすめとして現れます。「ユーザー」はこれまで、ITを通じて、便利さを求めてきました。より早く。より正確に。もっと多様に。もっとおあつらえ向きに。そんな希望に機能で応えること。それがよりよい社会に近づく、よりよい人生を実現する方法のひとつであることを否定しません。ただ、機能を実現した先人たちの苦労をよそに、「ユーザー」に向けられた再現可能な便利は、少しずつ陳腐になってしまいました。

「消費」することが、便利な世の中になりました。

でも、どうでしょう。必ずしも、アルゴリズムからレコメンドされたコト・モノ・ヒトが、「私」たちの感性の部分まで打ち震わせるとは限らない。そして、「私」たちは、心のうちに鮮明に留めていることの多くが、決して便利さから生まれたものではないことに気づくのです。


たとえば、補助輪なしで自転車にはじめて乗れたとき。
たとえば、ジャケ買いしたレコードが、生涯の一枚になったとき。

便利が介在しない、かけがえのない体験には、「私」たち一人ひとりに経緯があり、物語があります。思い出に耽り、思い込みを信じ、そして偏執します。そんな「便利」と「消費」の前後にある、感性や情緒が脊髄反射するような気持ちの昂ぶり。一人ひとりの物語の数だけ存在する、嬉しさや満足、納得。そんな一人ひとりにとっての小さな成功体験を生み出すことに対して、ルート・シーは、ますます貪欲になります。

ヒトの心根にしっかりと向き合うこと。
かけがえのない豊かな体験を生み出すこと。

偶然を必然にする正体とメカニズムを見極め、青天の霹靂のような運命の出会いすらも、熟達したジャズのアンサンブルのように次々に生み出していく。この8月で21期目を迎えるわたしたちルート・シーは、これから、ますます貪欲になっていきます。

認知心理学や行動科学、マーケティングから文化人類学まで。理論や調査手法の知見を集積し、仮説し、実践します。最高の価値を伝えるクリエイティブを模索し、ロスなく提供するための安全性やコミュニケーションを成熟させます。作り手であるヒトの想い。受け取るヒトの想い。それを見届ける社会にいる、いまはまだ名前も顔も知らないヒトたちの想い。誰かのオモロイをとことん考え、実現させていく。そのためのエンタルピーを、わたしたちルート・シーは増大させていきます。


Think Root, Make MIRAI

そして

圧倒的ヒト志向

ルート・シーとルート・シーで働く一人ひとりがめざすのは、
ヒトがヒトを想う善意が循環する、豊かな未来につながる社会です。


まもなく21期を迎えるルート・シーですが、掲げたミッションとビジョンへの道のりは、まだまだはじまったばかりです。改めて、よろしくおねがいいたします。

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